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甲子園と鉄道の旅(4) 2日目 再会

銭湯

夜行バスは東京駅に到着。
今日は埼玉にいる友人に会うことになっているので、ここから移動しなければなりません。

ひとまず朝飯を食べたところで、山手線で御徒町(おかちまち)駅へ向かいます。

……地理に詳しい人なら、東京駅から二駅しか埼玉に近づいていないことに気づいたでしょう。
では、なぜこんなところに降りたのか。

答えは風呂に入るため!

どうせまだ6時過ぎで時間も早いので、一風呂浴びてから向かおうというわけです。
そうして御徒町駅に到着し、今回の目的地である燕湯に向かったわけなのですが……。

イマイチ、分からん。

方向はだいたい合ってるはずなんですが、なかなか燕湯が見つからない。
それでも、しばらくうろついているうちに、立派な門構えが登場し、何とか無事に燕湯に辿りつくことができました。

調べたところによると、東京で数少ない朝風呂ができる銭湯として有名なのだとか。
朝風呂ができるというアドバンテージを抜きにしても、一度は来る価値があるとと思います。
更衣室には伝統的な番台があり、そこでお金を払う仕組み。
大人450円というのは、まずまずの値段ではないでしょうか。
風呂場に入って目につくのは、立派な富士山の絵。
これぞ、昔ながらの銭湯って感じですよね(若造なので実際のところは知らないのですが)。
全体的に、伝統的な銭湯って印象が強いですね。
ちなみに入浴しに来ているのは、見たところほぼ全員地元の人って感じです。
僕みたいなよそ者風情はさっぱり見られませんでした。

でもまあ、特に追い出されるようなこともなく(当たり前ですが)、体を洗っていきます。
風呂道具はほぼ何も持って行かなかったので、シャンプーや石鹸を番台で購入してから入りました。
ジャバジャバと体を洗った後、いざ浴槽へ。
足をつけてみると……。

めっちゃ熱い!

確か48度とかそんな感じだったので、伝わってくる熱が半端でない。
焼けるような熱さ……というより、僕の体焼けてないか!?
この時点では足しか入れてない(というより入れられない)のですが、足がしびれるように痛く、見る見るうちに真っ赤になっていきます。

ここまで来て風呂に入らないで上がるのも勿体無いですし、何よりよそ者が舐められてはたまらないという意地もあり、頑張って入ることに。
しかし……胸の辺りまで入った時点でもう限界でした。
とても肩までつかれません。
風呂から上がると、体全体が真っ赤っか。
全身にしびれるような熱さが残りました。
もはや長居は無用と、さっさと上がり着替えることに。

ここでは貸しタオルも借りられたので、お金を払って借りたのですが、バスタオルはないという罠。
……あれ、どうやって体拭けばいいんだ。

無いものはどうにもならないので、タオルを固く絞り、それで頑張って体を拭くことに。
まあ、何とかならないことはなく、体拭いて着替えて燕湯を後にしました。

東京の粋を感じることができてとてもよかったのですが、あれだけ風呂が熱いとなると、果たしてまた来てもいいものだろうかと悩んでしまいます。
……でも、行ける機会があったなら、「普通と違ったものを感じるのが旅の楽しみ方だ」ってことで、言っちゃうんだろうなあ。

埼玉へ

風呂から上がって7時半くらい(だったはず)。
埼玉へ向かうことに。

京浜東北線に乗って一路埼玉へ。
……しかし、山手線もそうだったんですが、随分近未来的な車両に変わったんですね。
フルカラーのディスプレイが全てのドアの上に設置され、駅までの所要時間がそこで分かってしまうという優れもの。
更に座席は、他の電車よりも気持ち少なめで、壁に張り付くように設置され、足元は荷物が置けるようにスカスカになっています。
……たぶんあれでしょうね。
すこしでも混雑を緩和できるように、極限まで無駄なスペースを無くしてるんでしょうね。
東京で走ってるどの車両よりも、京浜東北線や山手線の車両が広く感じる気がします。

さて、御徒町を出発してから数駅停まってるんですが、反対方向へ走る(つまり、東京・横浜方面へ向かって走る)京浜東北線の車両の混雑率がすごいです。
見る電車全てが人で埋め尽くされており、駅には人を押し込む用の駅員が待機しているという恐ろしさ……。
こっちの車両は、割とガラガラで平和そのものなだけに、あんなのに関わるようなことにはなりたくないなあと心に刻みました。

40分ほど乗ってるうちに、目的地の北浦和駅に到着。
さらにバスに乗り継ぎ、目的のバス停に着くと、そこには見覚えのある人影が……。

無事、友人との再会を果たすことができたのでした。

再会

友人のアパートは実に平和でした(笑)。
大学生のアパートをいくつも見てきましたが、かなり平和な部類に入ります。
無事に大学生活を送れているようで何よりでした。
……というか、自分が大学1年生だから、そんな目で見ますけど、向こうは悔しいことに大学2年生で、1年以上生き延びてこれたんですから、しっかりしてるのも当たり前ですよね。

再会を喜び合い、一通り部屋をチェックした後……寝ました(笑)。
熱湯風呂で神経を刺激されたとはいえ、正直、夜行バスでだいぶまいっていたので、眠くて仕方がなかったのでした。
というわけで、しばし睡眠。
すまんな友よ……助かった。

お出かけ

11時過ぎには起きた気がするので、寝たのは2時間程度でしょうか。
自転車を修理するというので近くのホームセンターに行ったあと、予め話していた通り鉄道博物館に向かうことに。

かつては東京の神田にあった鉄道博物館ですが、埼玉に移転し、巨大になって蘇ったということで、せっかく埼玉に来たのだし、行ってみようということになったのでした。
南与野駅から埼京線に乗り、大宮駅へ。
大宮駅からは埼玉新都市交通に乗り換えて、一つ先の鉄道博物館駅へ。
一駅なら歩けないこともないよなとは思ったものの、使えるものは使うということで乗車。
車両が本当に小さく、何だか遊園地のアトラクションに乗ってるかのような気分でした。

ちなみに、新都市交通というだけあって、一般的な鉄道とは違い、ゴムのタイヤで走っています。
お台場を走るゆりかもめと同じですね。

鉄道博物館駅

で、鉄道博物館駅から出てまず驚くのが、入り口までの凝ったデザイン。
通路が時刻表になってるんですね。

通路

入る前から感動してしまいますが、入ってからも、実際の車両が数多く展示されていたり、さまざまな資料があったりと、もう感動。

その日は蒸気機関車の汽笛を聞けるイベントもあり、ついでに録音してみました。
ケータイで録ったので、さほど音質はよくありませんが、ちょっと上げてみます。

汽笛の音

これを聞いてもさほど迫力が伝わってきませんが、現場で聞くと、腹の底に響き渡るほどに震えがきて、貫禄の違いを感じました。

建物内部の様子

ちなみに、実際の運転を体験できるというシミュレーターもあり、楽しみにしてたのですが、それほど自由に動かせるというわけでもなく、電車でGO!の方が正直楽しいかなって感じだったり。
やはりあれは偉大なゲームであった。

理科の実験

鉄道博物館を後にした僕らは、大宮駅近くの雑貨品店を少し見た後、再び友人の家へ。
夕食を食べることなりました。
パスタをメインとして食べたのですが、パスタの後に何やら怪しいものが……。

アルコールランプ

そう、小学校の理科の授業で、散々お世話になったアルコールランプです。

僕らが先ほど立ち寄った雑貨屋で偶然見つけ、思わず衝動買いしてしまったという友人は、これを使ってチョコレートフォンデュをやるというのでした。
これまで、これを使ってゆで卵を作ろうと試みたものの、水が沸騰しないため断念せざるを得なかったという過去を持つ友人。
買ってしまった以上、何らかの用途を見出したかった彼は、思案の末、沸騰させる必要のないフォンデュに活用することを思いついたというのです。

彼の実験の成果を見るべく、チョコレートを溶かし、マシュマロにつける僕……。
……うん、これはいける!
何となく心ときめいてしまうアルコールランプを本当に買ってしまうのもすごいけど、それをちゃんと使うこなしてしまうところが最高だ!

お別れ

そうこうしてるうちにいい時間に。
今度は上野駅前から出発するパンダ号に乗らないといけないため、名残惜しいけどお別れ。
また今度会おうと約束して、バスに乗って再び北浦和駅に向かう自分。

しかし……駅目前にして動きが鈍る。
次第に焦りを覚える自分。

現在時刻21時。
パンダ号の出発が22時なので、あと1時間で上野まで行かなければなりません。
しかし、ノロノロすすんでいる今の状況からすると、どこかで何か間違いが起きれば、乗り遅れる可能性も……?
が、頑張れー!

バスから降りて急いで切符を買い、京浜東北線に乗り込んだのが21時12分。
埼玉に来るときの時間からすれば、上野までは40分弱かかるので、計算の上では間に合うのですが、もしパンダ号乗車場所まで迷えば、乗れない可能性もあり、ドキドキです。

こんな時、最新型ディスプレイに到着時間が表示されるので、便利といえば便利なのですが、それ以上は何もできないもどかしさ。
食い入るように見つめても、到着が早まることはなく、上野駅到着は21時50分前。

急げええぇ!!!

お疲れ

間に合いましたとも。
乗車場所が思ったよりもあっさり見つかり、事無きを得ました。
何か前回もラストはこんなだったな……。
もっと余裕のある旅がしたいな……。

ゴール

パンダ号がいかなる乗り心地だったか、実は全くと言っていいほど覚えてません。
書いてる時点で一年前の出来事になってしまってるということもありますが、他のことはある程度覚えてるのを考えれば、よほど印象に残らないものだったのでしょう。
ただ、決して気持ちよく寝られたわけではなかったのは確かで、やはり夜行バスは鬼門だなと思います。
百戦錬磨の大泉さんたちを倒してきただけはあります。

やっぱりあれですね。
寝台特急を使うか、さもなくば大人しく宿で寝てるのが一番だなと思いましたよ。
大阪いりに使った寝台特急日本海では、まるで自分の家で寝るかのようにぐっすり寝てましたからね。
いかに夜行バスが拷問であるか、よ〜く分かりました。

今回の旅で得たもの。

夜行バスは、危険だ。

そうじゃなくて

一度はその場所に立ちたかった甲子園に行けたのは、何よりも嬉しかったですし、友人と再会して、鉄道博物館にまで行けたのは最高でした。
あ、アルコールランプもね(笑)。

(前回もそうでしたが)かなり突然旅行プランを立てた割には、意外と何とかなるもんだなというのが身を持って体験できました。
(前回はいくらか期間空いてましたが、今回は思い立ってから一週間足らずで旅にでましたからね)

行ってみたい場所に、その気になれば行けるようになった。
自分が大人になったなと感じる何よりの出来事でしたし、それなりの時間がある大学生にしかできないことだなとも思いました。

……大学生のうちに、もう一回会えたらいいな。
高校時代を共に過ごした彼らに。

それを考えられるだけの計画力は身に付いてるはずだし、それを実行に移すための行動力(無謀さともいう(笑))は身を持って証明している。

そんなことができればいいなあと思いつつ。

もう夏が終わるから大学の授業が待ってますな(笑)。

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2010年9月24日 公開