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ソード・ワールド2.0リプレイ はじまりの影(4) 反省会

振り返り

このセッションのために昼すぎから集まっていたが、時刻は既に夜。
夕飯もまだ食べていなかったので、遅まきながらもラーメン屋に繰り出しての打ち上げとなった。

GM:いやあ疲れた! 準備も結構かかったけど、本編を5時間半もやるとは思わなかった!
スイッチ:お疲れさん。
GM:初めてゲームマスターやったけど、こりゃあたいへんだ。もう2時間経ったあたりで頭がパンクしそうだったね。でも、ゲームマスター楽しいわ。プレイヤーより向いてるかもしれない。
ボッスン:まあ、お前も生き生きとやってたよな。
GM:……というか、前半は元々オリジナルストーリーだったけど、事前に考えてた展開を丸っきり裏切られたからほぼ全部その場のアドリブだった。よく3時間全アドリブでやれたなと思うよ。でも、お前らの発想がことごとく面白かったから、楽しく対応できたけど。
スイッチ:元々決めてた展開っていうのは?
GM:ロゼに話かければ、実は村の柵に1ヶ所だけ穴が空いてる場所があって、それがロゼの家の裏だということを教えてくれる。
スイッチ:やっぱりそういう展開かあ。
GM:「少なくとも」「君たちは」村の柵が壊れてる場所を知らないとか、ロゼは「昔、家出をしたことがある」とか、露骨にロゼに聞けという誘導をしてたつもりなのに、全然ロゼのところに行こうとしないんだもの。データを取って脱出するってのは手間かかるとはいえ面白くてよかったけど、村燃やされたらどうしようと気が気でなかった。
ボッスン:だってロゼとは話が合わなさそうだったからなあ。
GM:……わざとじゃないよな?
スイッチ:そういえば、村長さんのところで交渉続けたら解決できたの?
GM:いやあ……正直、村長の設定はほとんどなかったからね。プレイヤーにイチャモンつけるくらいにしか考えてなかった。よほど上手い説得をされたら、村長が折れることになってたかもしれないけど。
スイッチ:そんな気はしてたけど、やっぱりそんなとこか。
GM:ところで、2人は楽しかった? 初めてのTRPGに半ば強引に誘ったけど。
ボッスン:楽しかったぞ。TRPGみたいなのに興味はあったからな。こういう頭使って交渉進めて行くようなのは大好きだ。
GM:おかげでファンタジーRPGテイストのはずが、「クトゥルフ神話TRPG」かのような綿密な計画を練って進めるミステリーテイストになってたからな。進めながらも、これで本当にいいのかと苦悩があった(笑)。
ボッスン:別のゲームやってるみたいだったよな(笑)。
GM:今度はお前と「クトゥルフ神話TRPG」もやってみたいな。スイッチはどうだった?
スイッチ:楽しかったー。けど、〈二刀流〉があまり役に立たなかったのがなあ。
ボッスン:意外と命中率が低かったんだよな。
GM:というか、スイッチは屋敷に入ってからのサイコロ運がなさすぎだった(笑)。村にいた頃はボッスンがひどかったんだけど。
ボッスン:やっぱサイコロなんかに頼っちゃダメだ。

変わらぬ思い

やる前は不安もあったけど、無事最後まで完走できてホッと一息。
プレイヤーのみんなにも楽しんでもらえたみたいで良かった。
ゲームマスターの僕・冬野雪地は、TRPGのプレイヤーの経験が2回(いずれも「クトゥルフ神話TRPG」)、ゲームマスターの経験はなしという状態での今回のセッションだった。
ゲームマスターの経験がないとは言うものの、話を作ること自体は大好きだし、それに……こういうことは昔からやっていたのだ。

小学生の頃、僕の家は真面目なことに、夜9時には弟と共に眠りについていた。
でも、そうそうすぐに眠りにつけるなんてこともなく、弟と2人で会話していた。
会話って何を話していたんだろう?
今となってはさっぱり思い出せないが、何をしていたのかは思い出せる。

僕が、弟に物語を紡いでいた。

時にはどこかに冒険したり、時には英雄になったりとか、そんな感じの話だったと思う。
僕が話を考えていき、弟がそれに対してレスポンスを返し、また新たな展開へと向かっていく。
夜10時くらいになると、両親が寝室にやってくる。
物語はそこで一時中断。
次の日になると前日の続きが始められ、僕らは1時間の旅に出ていたのだ。

2人で作ってきた物語は、もはや僕ら自身も覚えていないけれど、2人だけにしか作ることができない物語が確かにそこにあった。
あれから長い時が経って、僕もいろいろ変わったと思う。
でも、根本は変わっていない。
夢と現の境目で作った2人の物語、それが今回、場所と人を変え、テーブルの上で3人で物語を作った。
たぶん、15年ぶりにあの頃の僕が存在していたのだ。

さて、次はどうしようか。
あのメンバーであの物語の続きもやってみたい。
大まかな構想は頭の中にあるけど、やるためにはもっとルールを勉強しなければ。
それに、別のストーリーにも心惹かれるものがあるし、あるいは別のメンバーになるかもしれない、数ヶ月後とか数年後とか15年後とか、ずっと先のことになるかもしれない。

でも、おそらくこれからも、僕はこういうことを続けていく。
幼い頃にやってたことを、今でも自らの意志で続けているのだ。
たぶん死ぬまで、僕は物語とトークを愛し続けていく。

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2012年12月31日 公開