後輩を指導するってなんぞや、みたいな話題があったので、以前書きそびれてたことを少しだけ。
教えるって何だろうなと考えるとき、いつも思い出すものがあります。
天野こずえさんの漫画『ARIA』のエピソードです。
『ARIA』の第10巻収録のNavigation 50「課外授業」のお話では、後輩の灯里がいくら失敗しても、決して叱ることのない先輩アリシアさんの姿が描かれています。
そのアリシアさんが、後輩を指導することに関してこんな風に言っています。
先輩として後輩を指導する時に、どうしても上手くいかないことも起きる。
そんな時、つくづく思うの。
ああ、教えることと教わることって、実はとっても似ているんだなって。
だったら私にできることは灯里ちゃんと一心同体になって、たんと挑戦してたんと失敗すること。
そして最後の最後は一緒に、たんと喜びをわかちあいたいの。
『ARIA』第10巻 153ページ2コマ目〜156ページ1コマ目 アリシアさんの台詞より
たぶん、そういうことなんだろうなって、思います。
また、決して叱ることがない理由についてアリシアさんは、
うん、多分ね。
「違う」「違う」と叱り続けていたら、アリア社長は間違えるのがだんだん怖くなって、最後には身動きできなくなっちゃうと思ったの。
もし社長と一緒にスイカ割りをするなら、「そっちじゃない」「そっちじゃない」ではなく、「こっち」「こっち」と声をかけ続けるわ。
それが私のやり方。
『ARIA』第10巻 150ページ3コマ目〜151ページ2コマ目 アリシアさんの台詞より
『ARIA』という作品は、自分にとって本当に思い入れ深い作品で、さまざまなことを教えてもらったと思っています。
何かあったとき、作品を読み返して、生きるヒントをもらっています。
このエピソードもその一つで、こんな先輩でありたいと思っていましたし今でも思っています。
でも実際はなかなか難しくて、後輩のアイディア・行動を、肯定ではなく否定でもって指導してしまうこともあります。
叱ってしまったこともあります。
あれは、自分としてはどうしても許せないことだったので、思わず口が出てしまいました。
その意味が、後輩に伝わったかどうかは分かりません。
でも、伝わっていたとしても伝わっていなかったとしても、あの時、あの場所、あの言い方で言うべきではなかったと今は思います。
なぜなら、先の言葉のまんまで、「間違えるのがだんだん怖くなって、最後には身動きできなくなっちゃう」から。
間違えるのが怖くなっていた後輩にそんなことをしても、意味がないに決まってます。
後輩として、先輩から正しく吸収してこれたかは分かりません。
ましてや、先輩として、ちゃんと後輩に教えられた自信はもっとありません。
でも、ちょっとでも近づきたいから。
その時は、私も一緒に、自分自身の勉強不足を大いに反省するわ。
『ARIA』第10巻 152ページ3コマ目 アリシアさんの台詞より