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東北地方サイコロの旅 〜2010春〜(4) 第三回選択 ついにキター!

運命の時

1 宮城県 松島海岸
2 山形県 東根市
3 岩手県 安比高原
4 岩手県 宮古市
5 福島県 田村市
6 福島県 白河市

先ほどの車中で、すでに選択肢を決めるくじびきは済ませてありました。
……しかし、黒石からは遠い所ばかりです。
現在昼の12時半。
今回の企画はこの日限りなので、これが最後のサイコロになるであろう予感がしていました。

そして今回サイコロを振るのは、……僕。
理想は安比高原に行ってアイスでも食って来ること。
それ以外の目が出たら……ちょっと厳しいかな、と。

ぐだぐだ言っててもしょうがないので、早速サイコロ振ります。
僕が魂を込めて振るった一投。

僕らは、どこへいくのか。

実食

サイコロを振り終わった僕らは、黒石の古くからの街並みであるこみせ通りに入り、そこで見つけた店に入りました。
目的の品は黒石つゆやきそば。
店には明らかに観光客という雰囲気の客が二、三組ほどいました。
それほど大きくない店だったので、それでもう満席って感じでした。

少しすると、注文した黒石つゆやきそばとご対面。

黒石つゆやきそば

……うん、普段は醤油の匂いがするはずのつゆからソースの匂いがただよってくるので、ちょっと不思議な感じでした。
さて、味の方は……?

……つゆが、すっぱい。

そばとして食べてもらうためか、ソースの甘みは抑えられ、すっぱさが全面に出ていました。
麺自体にもソースの味がついているんですが、つゆのインパクトが強すぎてあまり調和していない感じです。
僕個人の結論としては、刺激が欲しい時にまた食べさせてもらおうかと思いました。

昼食も済ませた僕らは、店内であらかじめ話しあって決めたルートに従って午後の日程を開始させました。

運転手は、僕。
責任をとって、ですかね。

サイコロは絶対だ

何メートルも転がっていったサイコロの出した目は……2番。

山形県東根市でした。

……どこ?
というのが、僕ら二人の最初の感想でした。
僕らの知識の中に、東根市は入っていなかった。
とにかく、秋田県は越えなければならない、という風にしか、その時点では感じられませんでした。

昼食のために店内に入ってから地図を調べてみると、東根市は山形県の東部に位置していることが分かりました。

東根市の位置

場所が分かると同時に、どうしても考えなければならない問題が浮上しました。

本当に行くのか。

別に、ホームページに載せるためにやっているわけではありません。
(ホームページ載せたのはおまけみたいなものです)
ここで目的地を変えたところで、誰から責められるというわけでもない。
じゃあ、さっき行きたいと言った安比高原にしてもいいんじゃないかという思いが、頭をよぎりました。

でも、今回の旅において、一番重要なのは何かを考えたとき。
重要なのは、サイコロであり、水曜どうでしょうの精神だと思いました。
「サイコロは絶対だ」「やると言ったらやる」。
普通に観光するなら、最初からダーツやらサイコロなんて使わずに、適当に目的地を決めていけばいいんです。
でも、サイコロの神様に運命を預けてしまった以上、やり遂げなければならないでしょう。

友人を説得しました。

「行こう。今日はバカになろう」

テーマソング

昼食も済ませた僕らは、店内であらかじめ話しあって決めたルートに従って午後の日程を開始させました。

運転手は、僕。
責任をとって?

いえいえ。

責任をとらされて、ですね(笑)。

ルートは何通りも考えられました。
黒石から秋田県・山形県をまっすぐ南下して行く方法、東北自動車道や山形自動車道を利用する方法、それこそ無数で(たぶん)これという正解はありません。
迷った末に、東北自動車道を利用して盛岡まで行き、そこから国道4号線をひたすら南下して宮城県大崎市まで。
そこから進路を西に変え、国道347号線を使って尾花沢市を経由し、国道13号線に入って南に下って東根市まで向かうというルートを取ることにしました。

ルート

秋田県を縦断するルートは、途中で通る山道が過酷であることを体感しているので避けたい、そして、高速道路を利用しやすい環境にあるから、早めに使って距離・時間を稼ぎたい、更にいえば同じ所をまた通るのはもう嫌だ(笑)、と考えました。
ちなみに、高速道路利用がなぜ盛岡までなのかというと、3000円以内に収まる範囲、ということで決めました。
あまり金かけたくないですからね……。
(3000円に深い意味はないですが、そこら辺が限度だよなあと)

運転手は、差し当たって盛岡の高速道路を下りた時点で交代ということにしたので、運転が楽な高速道路の区間を友人に運転してもらおうと思ったのですが、順番だからということで僕が運転することに。
だからつまり、あれですね。
「責任とれよ」という無言のメッセージですね(笑)。

13時を過ぎて黒石を去った僕らは、少し走ったところにある大鰐弘前インターから東北自動車道へ。
実は免許取得してから初めての高速道路なので、少し緊張しつつの突入。

高速道路の本線に合流する時は、加速を得るため3速にシフトダウンするように教習所で習いましたが……80キロ出すのに3速って拷問じゃないですか?
実際、教習時もかなり激しいエンジン音でしたし。
ということで、申し訳ないですが4速で本線に合流。
本線に入ってからは5速にチェンジです。

ところで、僕は基本的に守りの運転をしてます。
カーブでは遠心力がかかるのが嫌なのでしつこく減速・シフトチェンジし、片側二車線では抜きたいやつは勝手に抜いてくれと常に左側を走っています。

しかし、今回は攻めの走りをすることにしました。
なにせ、到着まで何時間かかるか分かりません。
少しでも距離・時間を稼ぐために高速道路を利用した以上、なるべく早く盛岡に着かなければならないでしょう。
よって、僕としては珍しく、追い越し車線も利用しての走行となりました。
高速道路自体も利用機会がないのに、追い越し車線をはしっているのは随分とまた新鮮な気持ちでした。

ここで、旅の気分を盛りあげようと、オーディオプレーヤーに入れていた曲を流すことにしました。
曲はもちろん、『1/6の夢旅人2002』。
FMトランスミッターを利用し、カーステレオから流れ出るテーマソングは、気分を高揚させてくれ……るはずだったんですが……。

うちの車がボロくてですね、エンジン音が大きいわけなんですよ。
それを高速道路なんか走らせてますから、後部座席に乗った友人と会話するのも一苦労なくらいの爆音になってるんです。
つまり、音楽なんか、まともに聞こえませんでした。
なんてこったい(笑)。

途中、花輪サービスエリアで休憩をとり、再び激走。
雪が降ってるような降ってないような微妙な状況で走り続けていた僕らを待っていたのは。

いい景色

岩手山でした。

山頂に積もった雪と木々のコントラストがいい感じですね。
……まあ、僕は運転してたので、ちゃんと見てたわけではないですが……。

15時頃、盛岡南インターで高速道路を下りました。
金額は軽自動車だったので2800円。
ETCがもしついていたら1000円だったんですね(笑)。
普段高速道路使わないので買っても意味ないですが。

高速道路を走るとガソリンがあっという間に減ってしまったので、ここでガソリンを入れ、運転手も友人に交代しました。
しかし……車が進まない。

車が渋滞しているため、交差点を曲がるのも一苦労で、時間ばかりが過ぎていきます。
ここら辺はいつもこんな感じなんでしょうか?

ともかく、花巻に着いたのが16時、北上に16時20分。
ここまで来て、ある不安が胸をよぎりました。

……辿り着けないんじゃないか。

変更

黒石市から東根市まで、超大雑把に測ったところ350kmでした。
大鰐・弘前インターから盛岡南インターまでは150kmほど。
高速道路を100キロ、一般道を60キロで走ると考えれば、一時間半プラス三時間ちょい、つまり18時くらいには着けるんじゃないかと楽観視していました。

ところが、距離的に中間地点くらいの北上に着いた時点で、所要時間は約三時間半。
単純に同じ時間かかったとして、東根市に着くのは20時になります。
そこから出発地点の大館市まで戻らないといけないので、それを含めると終了は27時(翌日午前3時)?

それは避けなければならないと、状況の打開策を探り始めました。
ここまで渋滞続きの国道4号線を南下していくのは止め、別ルートを検討することになりました。

すると浮かび上がったのが、北上市から西に向かい、秋田県横手市につながる国道107号線を行く方法でした。
これにより、渋滞からは解放されるはず……なので、望みを託すことにしました。

国道107号線に入ったところで運転手が友人から僕に交代。
辺りが少しずつ暗くなり始める中、すでに僕らの一寸先は闇となっていました。

峠を攻める

道中の様子

当たり前ですが、国道107号線は奥羽山脈の山合いを横切るため、道も狭く坂道・カーブが続くことになります。
運転する側にとってはあまりスピードを上げられないもどかしさがあり、不安は募るばかり。

すると、目の前に開けた景色が。

錦秋湖(きんしゅうこ)でした。
全体に氷が張っている湖に目を奪われ、道の駅錦秋湖で小休止。

そしてまた走り出します。
時刻は17時。

決断

横手市に到着し、国道13号線に入って南下して行きました。
既に辺りは完全に真っ暗。
このまま進んだらヤバいかもしれないという焦燥感と、ここで諦めてたまるかという意地が交錯し、何とも言えないモヤモヤした気持ちを抱えていました。

しばらく走り、秋田県の南端・湯沢市に突入。

そして……。

ついに、心が折れました。

近くにあったかっぱ寿司に車を停め、友人に告げました。

「諦めよう」

時刻、18時ジャストのこと。

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2010年5月1日 公開