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2010年4月27日の日記帳 「おおきく振りかぶって第14巻」

2010年4月29日(木) 「おおきく振りかぶって 第14巻」

僕の中で最高傑作の野球漫画は、ひぐちアサさんの『おおきく振りかぶって』だと思っています。
その14巻がついに発売され、早速読み終わりました。

……ネタバレがあるので、その点に同意出来る人のみ、続きを読んでください。





僕はもう既に試合結果は知ってしまっていました。
単行本の発刊ペースの遅さに耐えきれず、ちょうどこの辺りからちょこちょこ雑誌を読んでいたんです(笑)。
14巻の単行本でいうと、最初のページから9回表に竹之内が打球を放ち、「何点入っちまうかな」と滝井が言う所までと、9回表の倉田の打席から9回裏に巣山がヒットで出塁する所までの二ヶ月分は既読でした。
……まあ、一番オイシイところは読んでなかったわけでホッとしてます(笑)。

個人的なツボポイントは、9回裏一死二塁カウント1−1から沖がヒットエンドランを仕掛け、打球を放って「おおっ! やったか!?」となったところで、セカンド矢野が軽やかにさばいて、ファースト松下に送球。
沖はファースト松下に送球が渡った後であるにも関わらず、必死にヘッドスライディング。
……この時の松下の余裕しゃくしゃくの表情がムカツいてたまらない(笑)。

そして、二死三塁になって7番レフト西広。
為す術も無くカウントが進み、三球三振に終わった時。
ああ、本当に負けたんだなって、思いました。
桐青に勝って埼玉にコールドやった時は、もう負けようがないんじゃないかとすら思えましたが、強豪を前にあっけなく敗退。
(って言っても、6点も取るなんて相当な強さだとは思いますが)

そして最後のツボポイントは、負けた後に出てきた、夏大の西浦の公式戦記録。
……これは、ただ一言「すげえ!」でした。
ファンサイトで全試合のスコアをつけてたところもありましたが(確かそこは球数も無理矢理推測してたと思います。すごい執念です)、漫画の本編中でこんなのが出てくるのは史上初じゃないですか?
『ドカベン』だと割と新聞記事出てきますが、それで書かれているのはせいぜいランニングスコアまでだった気がします。
今月号の月刊アフタヌーンのハシラで、アシスタントにスコアの書き方を全部覚えてもらったとか書かれていましたから、相当頑張ったと思われます。

見てみると、漫画の面白さにも関わってくるので仕方ないと言えばそこまでですが、改めてヒットがすごく多いなと思います
。 毎回二桁安打で勝ち上がっていますからね。
西浦は、完全に打撃のチームですよね。
特に上位打線は完成しきっている感があります。
花井以下の下位打線頑張って、って感じです(笑)。

あと、失策も少ない。
一試合平均の失策の数は1を下回ってますもんね。
その昔、甲子園の県予選を勝ち上がっていた母校が準決勝まで進み、全校応援に行くことになったので、チームの状況を予習すべく一回戦からの記録を全て集めて見てみたら、一試合平均の失策の数が3を超えていて青ざめた記憶があります(笑)。
こんなチームで勝ち上がれたことが信じがたく、しばらく読み込んでいったところ、チーム打率が4割を超えていて更に青ざめました(笑)。
このチーム無茶苦茶だって(笑)。

それはともかく、打てて守れるならどこにでも勝てそうなものですが、思い返してみるに、やはり西浦は点とる効率が悪い気がします。
数えてないですが、残塁はたぶん美丞大狭山より多いです。
読者の感想でも、更には作中でさえ、モモカンの作戦は堅すぎると言われますが、チーム状況からして仕方ないんですよね。
一年生でパワーがなくて長打が期待できない以上、単打で点を取ることを前提にしなければならない。
となれば、作戦はやっぱり送りバントなんですよね。

桐青戦の一回表に、泉がヒットで出塁した時も、送りバント二つでツーアウトにしてでもランナーを三塁に進めたのが、一番極端で分かりやすい例でしょう。
そして、美丞大狭山戦の三点ビハインドで迎えた一回裏一死一塁の場面で、巣山に送りバントさせた時は、美丞大狭山の滝井にすら堅いと言われており、しかもどちらも得点に結びつかないという皮肉です。
盗塁・エンドランなど様々な作戦ができれば効率よくなるんでしょうが、パワーや技術が身についてない今は、「できることしかできない」ってことなんでしょうね。
これから(西浦サイドの視点では)練習編になるので、頑張ってってとこですかね。

……さて、とりとめもないことを延々と書いてしまいましたが、つまりはこういうことです。

単行本早く出して!(笑)
(次巻は早くも再来月発売ですが、それでもまだ二年前のストーリーなんですよね……)